当院救急部は2006年4月に本格稼働し,救急専従医による診療を開始しました.小児科並びに産婦人科を除いた時間外の救急車による搬送患者すべてを救急科が救急外来で初期診療に携わり,担当科に引き継ぐというシステムを採用しています.
開設当初は年間4000件程度の救急搬送件数であったのが,平成25年には8900件超となりました(図参照).
本院救急外来診療の特徴として,すべての重症度の救急搬送患者を受け入れ,すべての患者の初期診療を救急科医師が担当するいわゆる北米ER型診療を採用している点です.
救急部は,部長1名,救急科医師10名,外科・内科から8名の出向医師,及び救急科レジデント医師,研修医若干(5~6)名,師長1名,看護師33名,クラーク1名から構成されています.初期診察ベッドは7床,救急用定床ベッド数は14床.このほか院内に救急科専用ベッドが2床,救急用ICUを2床有し,全ての急性疾患を対象としアドバンスドプライマリケアを中心に,1次,2次救急患者のほか,3次救急(脳血管障害,循環器疾患,呼吸器疾患,外傷,切断手肢等)に対応しています.本院救急部は,都心中央に位置するため消防庁ホットラインへの直接対応,各種講演会,催し物,修学旅行などの際のいわゆるマスギャザリング災害にも対応できるように準備しています.
診療実績

西新橋キャンパス再整備
本院外来棟は今年で築52年になり,様々な問題が山積しています.配管の老朽化による漏水,低い耐震性,バリアフリーとは言えない構造,複雑な患者動線,狭隘な部屋や通路などです.安全・安心の医療を提供するためには,新外来棟の建築は最重要課題と位置付けて,これまで検討がなされてきました.
平成24年7月10日にマスタープラン検討委員会が召集され,新外来棟建築を中心とした西新橋キャンパス再整備タスクフォースを設置して新外来棟の機能,建物の配置,臨床講座の医局棟の機能と場所,歴史的建物の保存,将来的な建築計画(ローリングプラン),などが多角的に検討されました.
そのような中,東京都が所有する旧港工業高校跡地(都有地)を,東京都が希望する政策的医療を実施する医療施設に貸与するという公募がありました.政策的医療として,救急医療,災害医療,周産期医療,小児医療などを行うことが条件であり,この公募を受けて,本院の新外来棟を含めて,都が要望している政策的医療を実践できる建築計画を立案し,都に申請しました.今後,新外来棟,新大学棟,小児周産期センターなどが整備される予定です.
当講座も本学の計画に従い,さらなる救急医療体制の充実を検討しています.
